8月6日 操縦の基本を知る

 写真は、2017年9月9日のものです。

 本州でやっと、本当にようやっと『梅雨明け』か!と、思いきや、北海道はなんと、この時期になって『梅雨入り』か!!という気圧配置!・・・まさかこのまま『秋雨前線』化して、夏は終わり!なんていうことはないでしょうね。
 北海道は今まではあまり大雨にならなかったので、水害に対して脆弱です。また、この『ジメジメ』農作物にとって良いことがありません!トマトは病気になってはしまわないだろうか、ニンニクがちゃんと乾燥できるのだろうか・・・。パラにとっては更に直接的か、スクールは『開店休業』、いや、『今日は閉店』です。・・・まあ、自分は時間的な余裕ができますので、今日はちょっと長い文章にお付き合いください!
 今日の話は『パラグライダーの操縦の基本を』『ポーラーカーブ』『を理解することで知る』です。『ポーラーカーブ』というのは、各キャノピーの性能を示すグラフで、各メーカーから示されているはずです。これを知ることは非常に重要な事だとは思います。まあ、でも知らなかったから『重大な事故』につながるか、というとそれは微妙です。そのことはまた、別の機会に話しましょう!
 下の図は『ポーラーカーブ』に少し書き加えたものです。
グラフの縦方向(Y軸)は沈下速度(m/s)、横方向(X軸)は対地速度(m/s)です。ここでは分かりやすいようにY軸を2倍に伸ばしてあります。青い線が『ポーラーカーブ』です。原点(X軸とY軸が交わる所)から、『ポーラーカーブ』上のポイントに引いた線が『滑空方向』を表します。

 

パラグライダーの操縦は『ブレーキ』とアクセル』だけ!
 とても簡単です!『ブレーキ』は、手に持っている『ブレークコード』を引き込むことによってかけます。初心者はこれだけ!つまり、飛んでいこうとする機体にひたすら『ブレーキ』をかけるだけです。少しうまくなってくるとヤスさんから『そろそろアクセルバーを付けましょうか』と言われます。ここで初めて『加速装置』を渡されます。『アクセルバー』を踏むことで『アクセル』(加速)できるのです。・・・ところが、『アクセル』を踏んでも、『ブレーキ』をかけても『滑空性能は落ちる』のです!!
 図で説明します(ただし、この図は僕が適当に作ったもので数値は適当です)。
 図の『C』が、何もしない状態です。『0%ブレーク』とか『ノーブレーク』とか『フルグライド』とかいうでしょうか。原点と青い線の接するところにあり、最も滑空比(遠くに飛べる)が良くなります。『最良滑空』と言います。つまり、パラグライダーは『何もしないのが一番(遠くに飛べる)』ということになります。このグラフから読み取ると、『沈下速度=1.1m/s』『速度=7.7m/s』『滑空比=7』となります。
 『C』!つまり何もしていない状態から、『ブレーク』を引き始めると、『B』そして『A』に向かいます。
 『B』は、少し『ブレーク』を引いた状態。機体によってこの数値は異なるのでしょうが、『10~20%ブレーク』だと思います。ここで『最小沈下』となります。青い線とX軸を水平移動した線の接する所です。つまり、少しでも長く空中にいたいのなら、ここを使います。サーマル内でブレークを当てるのはこれが目的です。グラフから見れば、『沈下=1.1m/s』『速度=6.5m/S』『滑空比=6.5』となります。
 赤井川のテイクオフとランディングの距離は1140m、高度差は260mです。もし、全くの無風だったら(無風の時、テイクオフするのは危険です。絶対にやめましょう・・・自分に対しての戒め)、『A』つまり何もしなければ。、2分46秒後にランディングの上空99mに到着!『B』つまり、少しブレークを引きながらくれば、2分55秒後に85mの高さで到達できます。どちらが良いかは一目瞭然!・・・ただし、『無風』なら・・・です。
 『A』は『100%ブレーク』『フルブレーク』と言います。ここが『失速』に至るポイントです。これ以上引くと『翼としての機能』を失い『失速』となります。因みに、この時の飛行方向(原点からAへの矢印)を示してみました。 
 初心者はやらないのですが『アクセル』を踏んでいくと、『C』から『D』へと移って行きます。『D』が『フルアクセル』です。このグラフでは
『沈下=3.1m/s』『速度=12m/S』『滑空比=3.9』となります 。
 ・・・ここからが、本論です!!!

 

でも、パラグライダーは静穏では飛びません!必ず、何らかの『風』が吹いています。この風が吹いている状態での『操作』を理解するのに『ポーラーカーブ』が必需品となります。・・・つまり、フライトする全員に必要な知識だ!ということになります!
 こんなことはないのですが、ものすごく単純化して話をします。
 同じ図をもう一度掲載します。
 『2m/s』の単純な下降気流の中だったら、グラフの原点をY軸方向に『2m/s』だけ上にずらします(赤い線)。『最良滑空』を得たければ、原点から青い線(ポーラーカーブ)に接するように引いた線(緑)の接点ですから、アクセルを30%ぐらい踏んだ所でしょうか。この時、『沈下=3.7m/s』『速度=9.6m/S』『滑空比=2.6』です。
 また、向かい風『5.2m/s』だったとすると、XY軸は茶色の所に来ます。この時、『最良滑空』を得たい場合も、緑の線になります。つまり、下降気流『2m/s』と、アゲンスト『5.2m/s』の時、『最良滑空』を得たければ、同じ操作(アクセルを踏む)をしなければならない。ということになります。因みに、アゲンスト『5.2m/s』では 『沈下=1.7m/s』『速度=4.5m/S』『滑空比=2.6』です。
 もし、この状態でテイクオフしたら、アクセルを踏んでいても、680m進んで260mの高度差を使い切りますので、伐採場にアウトランすることになります。パラグライダーは、下降気流とアゲンストに極端に弱い乗り物です。なのに、アゲンストでなければテイクオフできません。・・・
 ここまでが、基本で、だから『サーマル内』では、とか、『トラバース時』は、とかいう話になっていきます。