8月25日 黒曜石の交易

 黒曜石は、英語でオブシディア(Obsidian)といいます。

 春先は随分と畑の中で『黒曜石の石器』を見つけました(写真)。最近は作物が育ち、地面そのものを見ていないので当然見つかりません。
 黒曜石は、化学成分上は流紋岩(またはデイサイト)で、ガラス成分である二酸化ケイ素(SiO₂)の含有率が70%以上にもなります。・・・つまり、天然のガラスです。流紋岩質マグマが、水中などの『特殊な条件下』で噴出し、急激に冷やされることによってできる岩石です。
 この『ガラス質』が高い切れ味を作り、石器にもってこいです。そして『特殊な条件下』という事が産地を限定し、交易の対象となったのでしょう。
 北海道では、『赤井川』『白滝』『十勝三股』『置戸』が四大産地です(自分は赤井川の事を知りませんでした)。黒曜石は産地によって特徴が分かれ見分けやすいです。赤井川産の黒曜石は、径0.5㎜~1.5㎜の流紋岩の球顆や燐灰石の結晶、気孔が多く観察されます。それらが入り混じってほぼ平行に並ぶ流理構造を有する点が特徴です(写真)。

                 また、フィッション・トラック法、蛍光X線分析などの理化学的な分析によって産地を特定できます。
 平成11年度の北海道埋蔵文化財センターの出版物を参考にすると、図のように、赤井川産の黒曜石は道南地方を中心に交易されていたように見えます。どんな時代に、どの程度の時間や、人を介して交易が行われたかは、出土品の種類や出土層など、もっとデータを集めなければ何とも言えません。少なくともここ、日の出地区に『石器工場』しかも道南地方全体に移出できるほどのものがあったと考えて良さそうです。